格ゲーにおいて難易度の高いコマンド入力の代表的なものとして挙げられる「1回転(2回転)」

スト2ではとりわけザンギエフ使いのプレイヤーさんにとって、この回転コマンドを相手に近づいた上でできるかぎり素早くかつ正確に入力することが求められます。

今回は、スト2の強豪ザンギエフ使いであるリアル大野さんことTMF氏のご協力のもと、普段自分が使っているアケコンを使用してもらいながら実際に入力方法をレクチャーいただきました!

TMF氏とは

関東のザンギエフ使いであり、回転コマンド入力の超絶技術から都市伝説として語り継がれるほどの強豪プレイヤーです。

現役プレイヤーとして大きな実績を残しており、世界最大の格ゲー大会として知られるEVOにおいて、EVO2014のスパ2X団体戦で日本チームの一員として出場して見事優勝しております!

また、あのアニメハイスコアガールの作中に度々出てくる大野晶のザンギエフプレイ動画の収録を担当した中身の人で、まさにリアル大野さんと呼ぶにふさわしい方となっております。

なお、TMF氏には以前行った自分の格ゲー個人イベントに参加いただいておりますので、よろしければぜひその時の様子をまとめた記事をご覧いただければと思います!

回転系コマンドの成立条件

ゲームによって回転コマンドの成立条件の仕様は細かい部分で異なっていたりするのですが、一般的には1回転であれば上下左右4方向を時計回りもしくは反時計回りに順番に入力することが条件となっております。

そのため、レバー1回転と言いつつも「6248」といった形で実際は3/4回転で成立することになります。

これが2回転になれば「62486248」といった形になり、最短1回転+3/4回転で成立します。

回転コマンドの狙い方

回転コマンドはその性質上必ずレバー上要素が必要となるため、そのまま入力してしまうと途中でどうしてもジャンプすることになります。

初心者の方は前ジャンプで相手に近づいて技を出さずに着地し、ジャンプの間に回転コマンドを入力して着地と同時にボタンを押すことで成立させる手法をよく使っています。

そこから研究が進み、事前に通常技を空ぶったり相手に当てたりする際の硬直時間を利用し、その間にコマンドを成立させる手法が広く使われるようになりました。

スト2では例えばよく立ち小Kを当ててからスクリューを決める連携が見られますが、これは立ち小Kを当てている間に回転コマンドの上要素の入力を済ませることで、ジャンプ防止を兼ねて回転コマンドを成立させているというわけですね。

また、CPUが出してくるような芸術的な歩きスクリューについても現在は入力方法が確立されており、格ゲーでは一般的に上要素を入力してジャンプする際はジャンプ移行フレームと呼ばれるごくわずかな短い時間が存在し、その間はまだ地上で立っている扱いになるため、例えば1P側であればレバー前から始めて「6248+P」という形で最後に上要素が入るように素早く入力することで、ジャンプ移行フレームの間に入力が成立していれば地上からいきなり立ちスクリューが出せます。

これらを駆使することで、相手の近くで複雑な回転コマンドを狙う機会が非常に多くなるというわけです。

はじき入力とは

回転コマンドをまともに手入力でやるとどうしても入力速度に限界があるため、一瞬のスキをついて相手に近づいて素早く入力しようとしても、その入力中に予備動作を見られてカウンターをもらうこともよくあります。

そこで、入力を機械的に最短で成立させるためのテクニックとして開発されたのが「はじき入力」です。

はじき入力はレバーのバネの力を利用した新しい入力方法で、レバを前に倒した状態から下方向にはじき、遠心力とバネの力で手入力よりも素早く回転コマンドを成立させることができます。

なお、自分は1P側では人差し指の付け根の腹と親指の先端でレバーボールを挟み、親指を下方向にぐるんと移動させながらはじくやり方で行っており、2P側では人差し指と親指の先端でレバーボールを軽くつまみ、指パッチンの要領で人差し指を下方向にずらすやり方で行っています。

スト2でザンギエフをメインとして使うプレイヤーさんの間ではもはや標準装備と言えるぐらい浸透している入力方法ですが、はじき方は人それぞれで、またレバーの良し悪しにも左右されやすいので、自分なりのやり方を模索してもらえればと思います。

TMF氏による実践動画

現在自分が使っているスペシャルアケコンを使って実践していただきました。

お話しいただいた内容でポイントとなった部分を以下に挙げていきます。

はじき入力による立ち2回転成立

2回転は最短で「62486248」と入力すれば成立するのですが、立ち2回転は最初のレバー上要素である8が入ってからわずかなジャンプ移行フレームの間に残りの6248を入力しなければならないという離れ技となっています。

ザンギエフのジャンプ移行フレームは5Fとなっており、最初の8入力から数えて86248を1F刻みで入力すると理論上立ち2回転が出ることになります。

これまでコマコン(プログラムで入力をフレーム単位でインプットさせる方法)でしか実践できないとされていた立ち2回転ですが、今回TMF氏ははじき入力を駆使してなんとこの離れ技を自力で行ってくれました。

都市伝説を目の当たりにできて感動!しかも自分が普段使っているアケコンで出してくれましたからねー

なお、はじき入力による立ち2回転は通常の1回転の時とは異なり、レバー前から下方向までは普通に入力し、そこから上方向に強くはじくことで残りのコマンドを成立させることになります。

力が弱いと2回転目の最後の8方向までレバーが回らないため、かなり難しい技術が要求されます。

一方、ホークはザンギエフとは違ってジャンプ移行フレームが3Fしかないため、事実上は86248(計5F)を成立させられないのですが、事前に立ち小Kor中Kを出し、それを空キャンする形でコマンド成立の猶予を伸ばすことができ、これによって疑似的な立ち2回転を出すことができます。

超絶難易度すぎて相当やばいですが(汗)

セイミツレバーの方がはじき入力を行いやすい

スト2が稼働していた昔の時代はセイミツレバーがよくゲーセンで使われていたのですが、現在は入力がかなり軽い三和レバーが主流となっています。

昔からゲーセンでプレイしていた方やシューティングゲームをよくプレイする方の中にはセイミツレバーを好む方も多くいらっしゃいますが、今回のはじき入力はセイミツレバーの方が行いやすいとされています。

また、デフォルトのセイミツレバーをベアリンググリスで良いので塗布することでかなり回転入力がスムーズになるとのことで、1回転であれば自分も軽い力で簡単にはじき入力ができています。

スイッチのクリック感が非常に気持ちよく、入力をしっかり行うのに適したレバーですので、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

レバーの影響を受けない1回転の素早い入力方法

はじき入力はレバーの種類や状態の影響を受けやすいため、プレイする場所が変わると途端に出にくくなることも珍しくはありません。

そこで、レバーの影響を受けにくい通常の手入力でもなるべく早く入力する方法として、3方向入力を教えていただきました。

1P側では「618+P」、2P側では「438+P」と入力するイメージで、一般的な4方向入力よりも素早く1回転を成立させることができるので、はじき入力がしにくい場合の代替策として覚えておくといいかもしれませんね。

総評

今回はリアル大野さんことTMF氏による回転コマンド入力講座をお届けさせていただきました。

はじき入力を駆使すればCPU並みの芸術的なスクリューを決めることが可能となり、相手に大きなプレッシャーを与えることができます。

ぜひ今回の記事を参考にはじき入力を練習し、実戦で華麗に決めていただければと思います!

最後までお読みいただきありがとうございます!